印刷発注&データ入稿
冊子印刷をする時の注意点は、予め「印刷を発注することを想定して作る」ということです。
せっかく苦労して作った論文や研究成果報告書のデータも、最終的にそのデータを印刷してくれる会社がないのでは目も当てられません。 また、印刷会社によってデータ入稿から納品までの所要日数や、対応してもらえるデータのファイル形式が異なったりしますので、以下の点に注意しましょう。
発注先の印刷会社
入稿データのファイル形式が限られていたり、ソフトが対応していてもバージョンによって受付不可だったりと、印刷会社によって対応してもらえる範囲は様々です。
その為、自分の作成環境(OSやソフト、バージョン)に対応できる会社なのかどうか、或いは発注してから納品までに要する期間はどれくらいなのかなど、印刷を発注する会社は早い段階で見つけて把握しておきましょう。インターネットで検索すれば、ネット通販など安価で短納期の印刷会社が沢山あります。
データ入稿時の注意点
印刷会社によって、それぞれ「データ入稿時の約束事」のようなものがある場合が殆どです。
発注した後での不要な手間やトラブルを避ける為にも、それらのルールは必ず確認するようにします。
参考までに、テキスト主体の冊子印刷で多いと思われる条件を、幾つか以下に挙げてみましょう。
カラーモードは「CMYK」
モニターで見る色は、「RGB」という光の三原色の組み合わせで表現されていますが、実際に出力する際の印刷物の色は、色の四原色である「CMYK」で印刷されますので、データ入稿の際は必ずカラーモードを「CMYK」にするようにしましょう。
※インク等による「CMYK」で表現される印刷物の色は、光である「RGB」で表現するモニター上の色よりも、基本的に少しくすんだような色になります。想定した色との違いを減らす為にも、データの色設定は必ず「CMYK」で行いましょう。
Illustrator のファイル形式(.ai)で入稿する場合
・テキストデータ(フォント)は、全て「アウトラインを作成」でアウトライン化しておきましょう。
制作者の使用したフォントが印刷会社の環境にない場合など、文字化け等の事故が生じたりします。
・配置してある画像などは「リンク画像を埋め込み」しておきましょう。
制作者の配置した画像がリンク切れで正しく表示されなかったりします。
・ファイル保存時に「PDF互換ファイルを作成」にチェックしましょう。
冊子印刷の場合、 Illustrator から直接印刷を行うのではなく、印刷会社では各ページでデータの位置がズレたりしないように、一旦 InDesign 等の「レイアウトソフトに貼ってからPDFに書き出す」方法をとるのが一般的です。このチェックが外れていると、それが出来ませんので、必ずチェックしておきましょう。
Photoshop のファイル形式(.psd)で入稿する場合
・テキストデータ(フォント)は全て「ラスタライズ」しておきましょう。
基本的にはどのソフトでも同じことですが、テキストが生きている(フォントが画像化されていない)と、文字化けや体裁崩れの原因になります。
・全てのレイヤーを「統合」しておきましょう。
可視化しているレイヤーとそうでないレイヤーがあったりすると、特殊効果を使用している場合や、環境の違いによる設定の違いなどから、制作者の意図しない事故が生じる原因になります。
Office系のファイル形式で入稿する場合
・ページサイズや字数・行数・段落設定などを確認しましょう。
Office系データは、対応している印刷会社でも環境の違いで体裁が崩れるリスクが高いファイル形式といえますので、正確な数字を自分で確認しておき、入稿時に各種設定数値を添え伝えるようにしましょう。
※ここに掲載したものは、一般的に多くの印刷会社で共通すると思われるようなルールです。
実際には、もっと細かい条件のある会社や、対応範囲の広い会社まで様々です。
可能ならば PDF ファイルで入稿
これまでも何度か触れてきましたが、可能であれば、ネイティブファイル(作成ソフトのファイル形式)のデータではなく、PDFファイルを作成し、PDFファイルで入稿するようにしましょう。
PDFファイルとは、「Portable Document Format」の略で、個人の環境に依存せず、様々なファイルフォーマットの体裁を崩さずに見る事が出来ます。
PDFファイルで入稿するメリット
PDFファイルさえ作成してしまえば、仮に印刷会社側で同じフォントやソフト、バージョンがなかった場合でも、見たままのレイアウトで印刷することが出来ますので、環境の違いによる体裁崩れのリスクや修正の手間といった煩わしさが激減し、納期の短縮にもつながります。
また、PDFファイルでのデータ入稿なら、対応している印刷会社も格段に増えますので、自分に都合の良い条件の印刷会社を自由に選ぶことが出来るというメリットもあると言えます。
※更に、「作成したPDFファイルとネイティブファイルを併せて入稿」すれば、何かデータに問題があった場合も原因が特定しやすかったり、簡単な原因であれば印刷会社側で修正などが行える場合もありますので、更に良いと思います。
PDFファイル作成時の注意点
PDFファイルを作成するソフトは、無料で入手できるフリーソフトも沢山ありますので、自分に合ったソフトを選ぶとよいでしょう。
ただし、PDFの作成ソフトを選ぶ際、また、PDFファイルを作成する際に注意すべきことがあります。
「フォントの埋め込み」と「画像を高解像度(300dpi以上)で保存」を行う(行える)ことです。
PDFファイルで入稿しても、フォントの埋め込みがなされていない場合、印刷会社で開いた時に別のフォントに置き換わってしまう可能性がありますので、フォントの埋め込みは必ず行いましょう。